![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
山男は仰向けになって、碧いあおい空をながめました。その澄み切った碧いそらをふわふわうるんだ雲が、あてもなく東の方へ飛んで行きました。そのときに山男は、なんだかむやみに足とあたまが軽くなって、逆さまに空気のなかにうかぶような、へんな気もちになりました。さて、そのあと、山男にどんなことがおこったか。それはそれは、なんとも奇妙で摩訶不思議なできごとでありました。生前刊行の童話集『注文の多い料理店』に収録された夢物語を、飯野和好がとぼけたあたたかさのある水彩画で描く。
▼「宮沢賢治の絵本」シリーズ
【著者プロフィール】 飯野和好 1947年、埼玉県生まれ。長沢セツ・モードセミナーで水彩画とイラストレーションを学ぶ。雑誌「an・an」の「気むずかしやのピエロットものがたり」でデビュー。絵本「ねぎぼうずのあさたろう その1」(福音館書店)で第49回小学館児童出版文化賞、「小さなスズナ姫」シリーズ(富安陽子/文 偕成社)で第11回赤い鳥さしえ賞受賞。 主な絵本に、「くろずみ小太郎旅日記」シリーズ(クレヨンハウス)「わんぱくえほん」(偕成社)「ふようどのふゆこちゃん」(理論社)「ハのハの小天狗」(ほるぷ出版)「桃子」(江國香織/文 旬報社)「ぼくんちに、マツイヒデキ!?」(広岡勲/監修 あさのますみ/作 飯野和好/絵 学研)「知らざあ言って聞かせやしょう」(河竹黙阿弥/文 飯野和好/構成・絵 斎藤孝/編 ほるぷ出版)などがある。 舞台人形デザイン(結城座)他、読み語り講演で各地を廻る。
![宮沢賢治の絵本 山男の四月](/images/4895881229_20101019164250_op1.jpg)
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
なんだかとっても不思議な話でしたが、飯野さんの描きだしてくれた宮沢賢治の世界がとても面白くて、読んでいるうちにドンドン吸い込まれてしまいました。
他の作品にはないようなちょっと攻撃的なイメージの話でした。
宮沢賢治をよく読む友人に「こんな絵本が出てたよ」と見せると、
飯野さんの描かれた「“支那人”がすごく(イメージしていた)雰囲気だった」と驚いていました。
今“支那”という言葉が、一発で漢字変換しませんでした。本の中に表記されているので私も使用していますが、これって、現代の日本語としては、差別用語に当たり、本来は削除される差別用語ですよね。
当時の宮沢賢治はこの言葉を特に意識しないで使っていたんでしょう。平和や愛を意識した彼の作品には、意外と珍しいことのような気がしましたが、当時の日本全体が、大陸の人々を低く見るのがごく自然なことだったのかもしれません。
この絵本を出版するとき、この言葉について問題はなかったのでしょうか?
原文の大切さを考えると変に変えたくないし、こういうのって、難しい問題ですよね……。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子11歳)
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