おおかみなんて、もうどこにもいないと思ってませんか? でも、本当はいっぴきだけ生き残っていたのです。
ひとりぽっちの子どものおおかみは、仲間を探してさまよいます。 うさぎの町、やぎの町、ぶたの町。 だけど、みんなが逃げていきます。 そんな時、おおかみの子は決まって言うのです。
「け」。
おれに似た子はいないかな、そしたら一緒に楽しく遊ぶのに。 ……いないんだな。でも、やっぱり……。
誰もいない町に、一人堂々とたたずむおおかみの子。 真っ黒で表情も見えません。 怖い?それともかわいそう? 私は子どもながらに何だかとってもかっこよく見えたのです。 そして、今でもそれは変わりません。
1977年に発売された佐々木マキさんの代表作のひとつ『やっぱりおおかみ』は、年齢を問わず多くの人たちの心をひきつけます。 子どもたちの目にはおおかみはどううつるのでしょう。 「絵本って面白い!」改めてそんな風に思わせてくれた、きっかけの1冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ひとりぼっちのおおかみは、仲間を求めて、ぶたの町、うさぎの町、とさまよいますが、どこへ行っても仲間はいません……。今までの絵本にはない、斬新なテーマに取りくんだ意欲作。
「1973年に初版のこの本ですが、発売された当初、こんな本売れるのだろうかと思っていたら
今でも書店に並んでいます。ロングセラーですね。
それだけこの本で伝えようとしてるメッセージに需要があるということなのです」と、読み聞かせ講座の先生がおっしゃっていました。
確かにその通りだと思いました。小さい子に絵本を選ぶとなったら、
お母さんたちはこの本を選択しないのではないかと思います。
しかし、子供が自我に目覚め、自分の存在の不確かさに不安になったり
お友達とうまくいかなかったりしたとき
きっとこの本は勇気を与えてくれるのではないでしょうか。
最後のページのオオカミはオオカミらしく生きようと決意する場面は
清々しさを感じました。
マンガっぽい絵ですが、なかなか中身は深いと思います。 (きゃべつさん 40代・ママ 男の子11歳、男の子8歳)
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