2010年刊行。鹿児島県の知的障害者の福祉施設で行われている畜産(ブタの飼育)を取材した写真絵本。黒豚の出産、成長、屠畜、加工、種付け、出産…その一連の流れを見つめる。巻末には施設でブタを飼育することになったいきさつなどを紹介。
動物が大好きな人にとっては、つらい現実を見ることになる一冊。
お店で並んでいる肉が、どういう風に作られるのか?を考えたことがあるだろうか。動物を育てて、殺して、加工する一連の流れを知ることで、自分たちが食べる肉や、肉を提供してくれる動物、育てたり加工したりする人たちなどのことを考える。
豚を出荷する(=殺す)ために、連れていく仕事が一番つらい、と語った人。「のこさず食べてくれることが、豚たちへの一番の供養だと思っています」と語った人。動物が大好きで、職員よりも豚のことをよく知るようになった障害のある人。
この本には、いろんな人の、いろんな思いが詰まっている。
生きている動物を殺して食べている現実を直視することで、命を大事にすることを真剣に考えることになった。
豚肉はおいしいのでファンも大勢いるし、畜産業で生計を立てている人も大勢いるけど、私は、豚は死んでいる肉よりも、生きていて走り回っているほうが好きだ。豚に限らず、動物はみんな生きていて、元気で幸せで暮らせているほうがいいと思っている。
人間も幸せで、動物も幸せで、地球も幸せで、宇宙も幸せになるようになるためには、どういうふうにしたらよいだろうか?