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はじめてのクリスマス

はじめてのクリスマス(偕成社)

人気コンビがおくる、新作クリスマス絵本

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新装版 ゆきがやんだら

新装版 ゆきがやんだら(Gakken)

一面真っ白の雪景色で、心が温まる親子のおはなし

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夏の雨

パパ・60代・埼玉県

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夏の雨さんの声

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自信を持っておすすめしたい お父さん、大好きだよってこの子は言いたかった  投稿日:2019/06/16
ぼくとおとうさん
ぼくとおとうさん 作・絵: 宮本 忠夫
出版社: くもん出版
男の子にとって父親というのは特別な存在かもしれません。
 川べりで二人(といってもクマのお話ですから二頭です)並んで釣をしているクマの親子。
 息子がいう「おとうさんはどうしてぼくのおとうさんなの?」という質問から、父と息子の面白い会話が始まります。
 男の子にはお母さんは自分を生んでくれたから母親としての実感があるようですが、父親となればなんだか怪しい。その上の質問です。
 父親は「おとうさんとおまえのかおがにているから」と、これはちょっと苦し紛れかも。
 だったら、自分にそっくりな子がいてもお父さんの子だとわかるの、って息子は追いかけてくる。
 さあ、お父さんはどうする?

 この絵本を読みながら、クマの親子のように父と並んで釣りのような、釣りでなくてもいいのですが、何か遊びや会話のようなものがなかったなと、少し寂しく、それでいてすでに父はなく、父もまたそんな会話をしたかっただろうかと思ったりしました。
 趣味といってなかった父、話すのが苦手だった父、誰にも父がいて、その父はいろんな表情をもった父で、いってみれば自分一人の父にちがいない。

 クマの息子はまだ小さいけれど、すでにおとうさんとたくさんの思い出を持っています。
 そして、こうして二人(二頭?)で並んで釣りをしてこともまた新しい思い出になっていく。大きくなって、並んで釣りをすることなんかなくなるかもしれないけれど、きっと男の子はこの日のことを忘れないでしょう。
 お父さんもまた。
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自信を持っておすすめしたい いせひでこさんがくれたもの  投稿日:2019/06/09
絵描き
絵描き 作・絵: いせひでこ
出版社: 理論社
絵本作家いせひでこさんの名前を知ったのは、『ルリユールおじさん』が新聞などで取り上げられたあとだったと思います。
 『ルリユールおじさん』の刊行が2006年ですから、そのあたりだという遠い記憶です。
 そのあとに、『にいさん』といういせさんが大好きなゴッホと弟テオを描いた絵本や『ルリユールおじさん』の続編のような匂いを感じる『大きな木のような人』といった作品と出会います。
 もちろん、多くの作品を描いてこられているので、愛読者の私は本屋さんで見かけるたびに読んできたように思います。

 でも、この絵本のことは知りませんでした。
 2004年に最初の刊行があったようでしたから、気がつかなかったともいえますが、もしかしたらこの作品はいせさんの原点のような絵本のような気がします。
 絵を描く旅に出る「絵描き」。
 それはきっといせさん自身でしょう。
 そして、旅で出会うのは宮沢賢治であったりゴッホであったり、いせさんに大きな影響を与えた人たちです。
 あるいは、風であったり光であったり空であったり、もっといせさんの感性に種をまいたものたちが、この絵本に描かれています。

 ページの端々に綴られた文章もまた、いせさんらしい。
 「描きたい、と思った。」
 「音を きくように、色を きこう、自由に たのしんで。」
 絵と文が共鳴しあっているのがわかる。
 どうしてかって?
 だって、読んでいて、心が震えるんだもの。
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自信を持っておすすめしたい アボカド? アボガド?  投稿日:2019/06/02
アボカド・ベイビー
アボカド・ベイビー 作: ジョン・バーニンガム
訳: 青山 南

出版社: ほるぷ出版
「アボカド」のことをしばらく、いえ、今でもしょっちゅう「アボガド」と言い間違ってしまう。つまりは紛らわしい名前なのだ。
 しかも、これは野菜なのか果物なのか。
 正解はクスノキ科の常緑高木になる果実なので果物になる。
 この「アボカド」の別名は「ワニナシ」、漢字で書くと鰐梨。果実の表面がワニの皮に似ているところからきているそうだ。
 さて、その栄養分であるが脂肪分が多く、よく「森のバター」などと称される。果実の中でもっともカロリーが高い。

 ここまで予習して、ジョン・バーニンガムのこの絵本を読むと、小っちゃな赤ん坊が「アボカド」を食べた途端にすくすくとたくましく成長するのも、まんざら嘘ではないと、もっともかなり大げさではありますが、わかるだろう。
 この赤ちゃんは「アボカド」を食べはじめてからは、子供たちを乗せた車を坂の上までひっぱりあげたり(まさか!)、家に侵入してきた泥棒を撃退したり(まさか!)、ピアノの置き場所をかえたり(絶対にないでしょ、それは!)してしまう、スーパーベイビーになってしまうのですから、驚き。

 ジョン・バーニンガムの略歴に「アボカド」の普及に関する何かの活動があるかといえばどうもないようだから、もしかしたら「アボカド」普及の秘密結社なのかもしれません(まさか!)。
 でも、この絵本のおかげで「アボカド」を食べてみたという人も多いのではないかな。
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自信を持っておすすめしたい 「アイデンティティ」ってどういうことかな            投稿日:2019/05/26
ぼくだけのこと
ぼくだけのこと 作: 森 絵都
絵: スギヤマ カナヨ

出版社: 偕成社
 「アイデンティティ」という言葉を初めて聞いたのは40年以上前、大学に入ってからだったと思います。
 日本語で訳すると「自己同一性」とかになるそうですが、簡単にいえば「自分とは何か」ということです。
 直木賞作家である森絵都さんが文を書いたこの絵本を読んでいて、真っ先に頭に浮かんだのが「アイデンティティ」という言葉でした。
 もちろん、これは絵本ですから、といっても小学生以上向きでしょうか、そんな難しい言葉は出てきません。
 「アイデンティティ」という言葉は難しいけれど、簡単にいえば「ぼくだけのこと」なんでしょうね。
 他の誰でもない、「ぼくだけのこと」。

 主人公の「ようたくん」にはきょうだいが二人いるけど、えくぼがでるのはようたくんだけ。
 五人家族の中で蚊にさされやすいのはようたくんだけ。
 学校の仲良し組は七人だけど、逆立ち歩きができるのはようたくんだけ。
 こんな風にどんどんようたくんの世界は広くなっていきます。
 クラス、学校、まち、せかい、そして宇宙。
 ようたくんに似た男の子は世界のどこかにいるけれど、似ているだけでまったく同じということはない。
 それはようたくんだけではない。
 この絵本を読んでいるみんなが、別々の「ぼく」や「わたし」で、それぞれが「自分だけのもの」を持っているということを、この絵本は教えてくれます。

 「アイデンティティ」という言葉は舌を噛みそうな言葉ですが、もっとやさしく言えればうんとわかりやすいのに。
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自信を持っておすすめしたい 風をよむ  投稿日:2019/05/22
見えない蝶をさがして
見えない蝶をさがして 文・絵: いせひでこ
出版社: 平凡社
絵本作家いせひでこさんの、2018年5月に出た詩画集。
 いせひでこさんは『ルリユールおじさん』や『あの路』などたくさんの絵本を創作しているから絵本作家であることは間違いないが、画家でもあって、絵本になっていない多くの絵画を描いてもいる。
 この詩画集は、画家としてのいせさんの創作だといえる。

 この本のもとになっているのは、月刊俳句誌「岳」の表紙絵である。
 毎月というのではなく、半年に一枚、それが10年続いたという。
 それらを集めて、本書が生まれた。
 俳句誌の主宰の宮崎静生氏は「絵本のような表紙絵でいいですよ」と、いせさんを励ましたという。
 けれど、この俳句誌を手にした結社の人たちは、いせさんの絵に俳句ごころを揺り動かされたのではないだろうか。

 平成最後の春、ニュースでも報じられた満開の桜に降り積む雪。
 そのことを「桜かくし」という美しい季語があることを初めて耳にした人も多かっただろうが、いせさんはそれを2010年に描いている。
 その絵につけられた文章が「ふっていたのは 休符だけの音楽」。
 いせさんは俳句を詠まないというが、これだけの短詩を詠むのだから、俳句もきっとすごい素養があるにちがいない。

 いせさんが俳句誌に描いてきた10年の間には東日本大震災が起こり、復興の時間もあった。
 いせさんがそんな時間の中で見つけた大きな流木も朽ち、撤去された。
 そんな時間を、いせさんはページの最後にこんな俳句として残している。
 「見える蝶 見えざる蝶も 風をよむ」。
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自信を持っておすすめしたい 大阪弁っておもろいか  投稿日:2019/05/19
おじいちゃんがペンギンやったとき
おじいちゃんがペンギンやったとき 作: モラグ・フッド
訳: 長谷川 義史

出版社: 小学館
読み聞かせをしてはる人に言わせると、関西弁で書かれた絵本の読み聞かせはやりにくいみたい。
 その代表選手(というのかな)が長谷川義史さんで、そらぁ、今でも大阪に住んでる現役バリバリの大阪人やから、しんぼうしたって欲しい。
 何しろ大阪の人は当たり前やけど大阪弁しか喋れなくて、他の地方の人なら東京に出てきたらたちまち標準語で話しかけられるのやけど、大阪人はそれができへん。
 まあ、その分、正直というのかな。
 ちょっとちがう…か。
 それに、なんぼ、隠したかって、そのイントネーションで忽ちその正体がばれてしまうんやから、隠したって意味ないもん。

 そうやから、長谷川さんが翻訳した外国の絵本やって、大阪弁です。
 外国の人が大阪弁なんか話す訳ないのに、長谷川さんが訳したら、もう大阪ワールドやし。
 ある日おじいちゃんが突然ペンギンになってしまうという、これはこれで相当大阪的な変な絵本やけど、「いつものおじいちゃんとちがうねん。」となれば、一体「ねん」とはなんや、なんでおじいちゃんがペンギンになってリビングにおるんや、となるでしょ。
 つまりは、大きな声で「なんでやねん!」と叫びたくなるような絵本なんやで。

 そやけど、そんな不条理な(なんて高尚な言葉は大阪の人は話せへん。つまりは、けったいな)話やけど、大阪弁で書かれているさかいに、ちっともけったいに思われへん。
 おじいちゃんがペンギンになろうが、フラミンゴになろうが、それもありやと、思ってしまうから、変。
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自信を持っておすすめしたい 「幸福の王子」というお話を憶えていますか  投稿日:2019/05/12
すきま地蔵
すきま地蔵 文: 室井 滋
絵: 長谷川 義史

出版社: 白泉社
女優の室井滋さんと絵本作家の長谷川義史さん。
 なんとも絶妙な取り合わせである。
 本業を離れたところでも音楽ライブ活動とかをしているとか。
 室井さんは当然女優が本業であるが、絵本の作家としてもすでに何冊も上梓している。
 絵は長谷川さんが描いているが、たぶん、長谷川さんも室井さんのことがよくわかっているから、絵も自然にのびのびしているように思える。
 絵本の文章を書く人がピッチャーなら、絵を描く人はキャッチャー。
 二人の息が合えば、完成した絵本もいい。

 この作品を読んで、昔読んだ『幸福の王子』という童話を思い出した。
 子供の頃に聞かされた人も多いと思うが、これはれっきとしたオスカー・ワイルドというアイルランドの作家による作品。
 町の真ん中に立つ王子の像から一羽のつばめがさまざまな用事を言い使って貧しい人とかを助けるお話。
 室井さんはこの「幸福の王子」に相当するのを四体の親子地蔵とした。
 しかも、このお地蔵さまはビルとビルの間に残された「すきま地蔵」。
 人間からそんな虐げを受けても、お地蔵さまは健気。
 東西南北、困っている人がいれば助けようとする。
 そのお手伝いを頼まれるのが、小学生の「ボク」。
 やっぱり困っている人を助けるお話というのは、心が温まっていい。

 このお地蔵さま親子は助けるだけでなく、「すきま地蔵」になっても地元の人たちから愛されているというのも、ほっこりさせる。
 室井さんと長谷川さんのコンビのよさは、そういうほっこり感のような気がする。
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自信を持っておすすめしたい きみはまっ白な紙だ  投稿日:2019/04/23
ぼくは本を読んでいる。
ぼくは本を読んでいる。 著: ひこ・田中
出版社: 講談社
 白い、何も書かれていない紙があるとしよう。
 そこに色とりどりのペンでなんでも描いていく。うずまきだって、ギザギザだって、ただまっすぐな線だって。
 もちろん、ひらがなも漢字も、英語だっていい。
 子供たちの世界はそんな世界なんだろうな。
 書いても描いてもまだまだ描ける。
 児童文学者ひこ・田中さんのこの物語を読んで、そんな感想を持った。

 小学5年生になったばかりのルカという男の子がこの物語の主人公。
 大の親友安田くんとか幼馴染のナナとか転校生のカズサとか友達もたくさんいる。
 でも、ルカはこうも思っている。
 「幼くはないし、大人でもないってわけ」。
 だから、いろんなことが疑問だったりする。
 そのたびにインターネットで検索なんかする。
 ルカは昔の子供ではない、今の子供。
 そんなルカが家にある「本部屋」、そこは壁一面に本が並んでいるところ、でまだカバーがされたままの本を5冊見つける。
 どうも昔、お父さんかお母さんが子供の頃に読んだ形跡のある本みたい。
 それが『小公女』と『あしながおじさん』。
 ルカはこの2冊の本を読むながら、たくさんのことを考えていく。
 100年以上前に書かれた本を読むことの不思議、今出版された本ではなくお父さんたちの時代に書かれた本を読む難しさ。
 そんなこととか目にするさまざまなこととか、ルカの心の白いページはどんどん埋まっていくのがとってもうらやましい。

 きっとこの本は小学5年生の読者と年をとった読者とはちがう感想になるのだろうけれど、本はそんなことで不公平になったりはしない。
 いい本はその人にとってのいい本だから。
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自信を持っておすすめしたい きれいなくちぶえが聞こえてきます  投稿日:2019/04/21
ピーターのくちぶえ
ピーターのくちぶえ 作・絵: エズラ・ジャック・キーツ
訳: 木島 始

出版社: 偕成社
 エズラ=ジャック=キーツのこの絵本を読んで、なんてきれいな作品だろうと思いました。
 でも、きれいってなんだろう。人はどんなものを見た時にきれいって感じるのでしょう。
 辞書で調べると、「きれい」には「色・形などが華やかな美しさをもっているさま」とか「姿・顔かたちが整っていて美しいさま」とあります。
 この絵本の場合、色彩の素晴らしさが読者に「きれい」と思わせるのだと思います。

 くちぶえが吹けない少年ピーター。
 街の中でたたずむピーターの、その街の壁がピンクを基調に描かれています。
 実際にそんな色をした壁があったら驚くでしょうが、ここではちっとも変じゃない。
 ピーターが暮らす街はなんとも見事な色彩でできていることでしょう。
 それに、ピーターの服だって素敵です、
 少し大きめのTシャツでしょうか、白地にピンクの線柄がはいっていて、少年の躍動する感情があらわれています。

 なかなかくちぶえが吹けないピーターにやっと音がでました。
 そのうれしそうな顔といったら。
 その自慢げな顔といったら。
 絵本ですから音が聞こえないはずなのに、くちぶえを吹くピーターを描いたページを開くと、少年のかぼそい、けれども強い音が聞こえてくるようです。

 キーツさんの絵本は色彩もきれいですが、子供のことをとてもよく観察していると思いました。
 きっと誰にでもあった、くちぶえがならない悲しみ、初めて鳴った時の喜び。
 それが見事に描かれた絵本になっています。
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自信を持っておすすめしたい 人生について知るということ  投稿日:2019/04/14
ロバのシルベスターとまほうの小石
ロバのシルベスターとまほうの小石 作・絵: ウィリアム・スタイグ
訳: せた ていじ

出版社: 評論社
 アメリカに「コールデコット賞」という有名な絵本の賞があります。
 これは、アメリカ図書館協会が,アメリカで出版された絵本の中でその年のもっともすぐれた作品に贈る賞で、1937年に創設されています。
 賞の名前は,19世紀の絵本画家,ランドルフ・J・コールデコットからとられています。
 ウィリアム・スタイグ作のこの絵本は1970年にコールデコット賞を受賞しています。
 受賞の際のスタイグさんのスピーチが巻末に収められています。
 そのスピーチの中でスタイグさんはこんなことを話されています。
 「児童文学をふくむ芸術は(中略)謎を謎としたままで人生について知ることを助けてくれます。(中略)そして不思議だと思うことは、人生に敬意を払うことにつながります」と。

 絵本の主人公は、変わった色の小石をあつめるのが大好きなロバのシルベスターくん。
 ある日、彼は小さな、魔法の小石を見つけるのですが、まちがって、自分が石になる魔法をかけてしまいます。
 家に帰らないシルベスターくんを心配してお父さんもお母さんも、村の動物たちも一生懸命探すのですが、まさかシルベスターくんが小石になっていると思いませんから、見つけることができません。
 季節がめぐって、新しい春になりました。シルベスターくんの両親は悲しみから抜け出そうと、ピクニックにでかけます。
 そこには小石にかわったシルベスターくんがいます。
 さあ、お父さんお母さんはシルベスターくんに会えるでしょうか。

 絵本にはどんな魔法もありません。
 最後に誰もがよかったと思えることこそが大事なことではないでしょうか。
 スタイグさんはそんなことを描きたかったような気がします。
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