絵が作る世界に魅了されました。
猫と小鳥の存在感、背景の奥深さ、物語を包みこんで、映像のように心の中で膨らんでいきました。
実をいうと、最初に猫の表情に優しさは感じませんでした。
小鳥にせがまれて、気まぐれで小枝を渡したのでしょう。
それが何度も小鳥の歌声を聴くうちに、心が変化していったのです。
小さな家で淡々と小枝をたばねる仕事をしている猫にとっては、家のまわりの風景や、香り、小鳥のさえずりに心を開くゆとりもなかったのでしょう。
最初の気まぐれが、期待感に変わっていく様が、お話以上に伝わってきました。
猫の渡した小枝で巣を作ることができた小鳥は、生まれた子どもたちと一緒に、お礼に訪れます。
猫の喜びの表情が印象的です。
これからもっともっと、満面の笑みに変わっていくことでしょう。
表紙の絵からは想像しなかった、素敵な世界に大満足です。