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複雑で重厚になっていく絵(もちろん軽やかさは変わりません)とは対照的に、よりシンプル、より力強くなった印象の文章。進化していく荒井良二の新しい世界です。 たいようがオルガンをひくと朝が来て、明るい一日の始まりの世界が画面一杯に広がります。その大きな大きなたいようオルガンが見守る中、細いみちをゾウバスが走り出すのです。どんどん進むゾウバスの感じる世界は・・・。 「はながさいている」「かぜ きもちいい」「ちょうちょ いる」「みち つづく」「ひと のったりおりたり」 あまりにもストレートに述べるこれらの言葉に思わず「ほんとだほんとだ。」。画面の隅々、ちょこまか荒井ワールドに引き込まれてしまいます。その先のお話はみんながそれぞれ考えるのかな?でも私は最近の荒井さんのこの感覚が大好き。ささいなこと、当たり前のことをこんなに新鮮な気持ちで見つけられる喜びを感じずにはいられません。 そしてゾウバスはボートに乗ったら一休み、「お茶いただきまーす。」なんて幸せそうな表情なの・・・。まだまだ進むゾウバスです。 たいようオルガン、夕方になったらどうなるの?夜になったらどうなるの?最後の2場面はとってもニクイ演出。 さぁ、あなたはどう読む?
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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たいようが弾くオルガンの音とともに、象の形のゾウバスは長い長い旅をします。 あふれる色彩が音楽のように鳴り響く傑作絵本。
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この絵本を開くと、ドキドキうきうき、
まるで冒険へ出かけるような楽しい気持ちになります。
どこまでも聞こえてくるオルガンの音、絵から、それが本当に聞こえるようです。
すべてのページがパワフルで、圧倒されます。荒井良二さんの作品の中でも、とても好きな一冊です。 (なーお00さん 30代・その他の方 )
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