年老いたゾウは自分の死期を悟るが,一緒に暮らしていたネズミはそれを受け入れられない。 しかし幾つもの季節を重ねるうちにネズミも成長して…。
想像してみてください。だいじな愛するひとがあの世にいってしまうことを。だれでも、すぐには受け入れられないでしょう。しかし、月日がすぎていくなかで、ひとはいつしか、つらく悲しい別れでも、それを受けいれられるように心が成長するのです。幼いネズミくんは年老いたゾウさんに、「いっちゃいやだ」といいます。しかし、弱ってきたゾウさんを一生懸命ケアするうちに、心が成長して、ゾウさんがゾウの国に渡るつり橋を修理してあげます。そして、「こわがらないで」といって見送るのです。ゾウさんは「だいじょうぶ」といって、渡っていきました。 この物語は、著者が幼いころから死について話してくれた祖母との別れの体験をもとに書いたそうです。いまの時代、家族の病気や死について、子どもは会話の輪のなかにいれてもらえないため、一生のなかでとてもだいじな死について学び、心を成長させる機会を失っています。この絵本は大人にも子どもにもだいじなことを語りかけているかと思います。 ―― 柳田邦男(本書帯文より)
息子、娘と一緒に読みました。
「ぞうの国ってなに?
どうしてねずみと一緒に暮らしちゃいけないの?
年をとるとどうしてそこに行かないといけないの?」
と、小2の娘は途中からまるでねずみの気持ちを代弁するかのように質問攻めでした。
読み進めていくうちに、質問もなくなりじっと聞き入っていました。
「さよならって言わないんだね。」とラスト。
ぞうもねずみも穏やかな表情をしています。
おわかれが「さよなら」と言う言葉だけではないことを親子で学びました。
ねずみが橋を直す場面、
頑丈に作ったからだいじょうぶだよと送り出すねずみの気持ち、
ねずみの心にぞうが、ぞうの心にねずみがしっかりといること。
二人の相手を思い合う気持ちに涙が出ました。 (ハッピーカオリンママさん 30代・ママ 男の子9歳、女の子7歳、女の子5歳)
|