![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
人間のまちにすむおじさんから、山のきつねの子にこづつみが届きます。中に入っていたのは、銀色のコインときのみ。
「次の日曜、バスにのって遊びにおいで」
きのみはバス停の数だけ入っています。ひとつ停まるごとに、ひとつぱくり。これなら間違えないでしょう? おじさんは言うのです。
日曜日、きつねの子はおじさんのように人間の姿にばけると、道のむこうからやってきたバスに乗り、一番うしろの席にすわります。初めてのバスです。きつねの子は過ぎていく景色をよくながめ、バスが停まるたびにきのみを口に入れていきます。ところが七つ目のバス停で……。
ワクワクしていた気持ちが不安に変わり、急に心細くなって涙があふれてくるきつねの子。バスから差し込む光の変化や、知らないまちのにぎやかさが緊張感を高めていきます。心情が読者にまでしっかりと伝わってきたその時、目の前に広がったのは、見たことのない光景。「わあ!」美しさに思わず声をあげてしまうのです。
この小さな冒険の中でゆれ動く、きつねの子の視点や、見守る大人たちの様子を繊細に描き出しているのは、はせがわさとみさん。そして、一つ一つの場面を忘れられない情景として、私たち読者の記憶にしっかりと刻み込んでくれる絵を描いているのがnakabanさん。この二人の絵本作家による贅沢なコラボレーション。存分に味わってみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
人間の姿に化けたきつねの子が、バス停の数だけ木の実を持って、おじさんの家にいきます。 バスがとまるたびに、木の実をひとつずつ食べていると、赤ちゃんの手がぶつかって床に木の実が転がってしまいました。 急に不安になって涙が溢れそうになったその時…。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
初めて、一人で路線バスに乗っておじさんの住む街へ出かける、きつねの子の緊張感がひしひしと伝わってきます。
人間に化けたきつねの周りにいるのは本当の人間です。
ばれてはいけないし、降りる場所を間違えてはいけません。
予想外なことが起こって、パニックになったきつねの子の、心情は痛々しいです。
それだけに、次に起こった予想外な展開に救われたように思いました。
nakabanさんの、きつねの子の気持ちを塗り込めたような絵にも魅力を感じました。 (ヒラP21さん 60代・その他の方 )
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